会計

簿記2級 連結会計(成果連結)をわかりやすく①

みなさんこんにちは。

本日は簿記2級での出題範囲になり、受験生を苦しめている連結会計に関して可能な限りわかりやすく解説したいと思います。

連結は考え方が難しい論点ではありますが、そういった難しい論点は、あまりひねった問題はでない傾向があります。

したがって、一度連結のやり方をマスターしてしまえば、安定して点を取れる得点源にもできる分野です。

今回は成果連結を解説していきます。

『成果連結』とは、親子会社間の内部取引を相殺消去する仕訳です。

ダウンストリームとアップストリーム

親会社→子会社への取引をダウンストリーム、子会社→親会社への取引をアップストリームといいます。

何が違うかというと、具体例で示します。

例えば商品100を110(つまり付加価値10)で販売したとしましょう。

ダウンストリーム

親会社から子会社に販売した場合

まず、売上及び仕入れを全額消去

売上110/仕入110→親子間の取引は連結上無しになるので相殺消去

付加価値分の未実現利益10を消去

売上原価10/商品10

→本来商品の価値は100だが、子会社では商品を110で計上してしまっている。そのため、付加価値分10は未実現の利益になるので、消去する。

未実現とはどういうことかというと、親子会社は連結により1つの事業体としてみなします。1つの事業体同士で取引をしている、つまりイメージとしては、同じ会社の倉庫から別倉庫に移しただけ、みたいなイメージです。

倉庫間に移しただけなのに、商品の価値が100から110に増加するのは変ですよね。だから、本来の商品仕入額100になるように修正するわけです。

ここまでは理解できたでしょうか。

それでは次にアップストリームの場合について解説します。

子会社から親会社に、100の商品を110で販売した場合です。

売上は未実現なので、全額消去するのは同じ

売上100/仕入100

そして付加価値分10を全額消去するのも同じ

売上原価10/商品10

違うのはここからです。

ここでは親会社は子会社の発行済株式総数のうち70%を取得しているとしましょう。

子会社にはこの場合、親会社ではない”非支配株主”が30%いるということになります。

つまり、子会社で消した付加価値分10という未実現利益のうち、30%は非支配株主のものなのだから、その分は非支配株主に負担させよう、と考えます。

そこで、10の30%分の3が非支配株主に負担されます。

非支配株主持分 3/非支配株主に帰属する当期純利益 3

売上原価の反対仕訳を切るイメージなので、借方の売上原価に対して貸方に非支配株主に帰属する当期純利益(PL項目)を置きます。

仕訳をまとめると、下記になります

売上100/仕入100

売上原価10/商品10

非支配株主持分 3/非支配株主に帰属する当期純利益 3

これがアップストリームになります。

償却性資産の連結仕訳

先ほどは商品についての連結仕訳でしたが、これが機械等、減価償却をする資産(これを償却性資産といいます)を親子会社間で取引した場合はどうでしょうか。

ダウンストリーム

親会社から子会社に、100の機械を130で引き渡した。なお、当該機械の減価償却期間は5年である。

まず、付加価値分30が未実現のため、これを消去する必要があります。

機械売却益30/機械30

親会社で計上していた機械売却益30を消去するわけですね。

さて、今回は機械なので減価償却をするわけです。

子会社において、本来100の機械を130で減価償却してしまっているので、付加価値30の分、多く減価償却を計上してしまっているわけです。

機械減価償却 6/機械減価償却累計額 6(30/5(年)=6)

したがって、この減価償却をなかったことにするため、反対仕訳を切ります

機械減価償却累計額 6/機械減価償却 6

さてここで問題です。今子会社で減価償却をしているといいました。

カンの良い人なら、ここで非支配株主に案分させるのかな?と疑問に思うことでしょう。

結論からいうと、非支配株主に按分はさせません。

というのも、この場合、機械を販売した売却元で処理をしていると考えるからです。

つまり、親会社側で発生した取引=ダウンストリームとしてとらえるため、非支配株主には負担させません。

ここが一番混乱しやすいところなので、よく覚えておきましょう。

では、アップストリームの場合です。

子会社が親会社に機械100を130で販売した場合

付加価値30をまず消去します

機械売却益30/機械30

アップストリームなので、非支配株主に負担させます

今回は親会社が子会社の発行済株式総数の50%を取得しているとしましょう。

非支配株主持分 15/非支配株主に帰属する当期純利益 15

また、減価償却分を相殺するのはダウンストリームと同じ

機械減価償却累計額 6/機械減価償却 6

ここで、機械の売却元は子会社なわけです。

つまり、子会社側で発生した取引として処理します。

ということは・・・・・・非支配株主に負担させますね。

アップストリームなので、非支配株主に残り50%分を負担させます。

非支配株主に帰属する当期純利益 3 /非支配株主持分 3

貸方に機械減価償却がきているので、反対仕訳を切るイメージで借方に非支配株主に帰属する当期純利益を計上します。

機械を持っているのは親会社なのに、非支配株主に負担させるの?と疑問に思うかもしれませんが、あくまで子会社で発生した取引のため、アップストリームとして取り扱うのです。

まとめ

今回はここまでにしておきます。

あまり一度に説明をし過ぎると混乱しやすいと思うので、当期分の仕訳に区切って説明しました。

次回は、翌期以降の仕訳はどうなるのか、を説明していきたいと思います。

それでは、また

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