みなさまこんにちは。
連結会計を勉強し始めると、「非支配株主」とか「アップストリーム」とか知らない単語がでてくるし、今までの会計と違うことをやっているので、それなりに混乱すると思います。
そこで今回は、連結会計で使う基本的な用語と、連結会計の考え方について記載していこうと思います。
目次
親会社と子会社
親会社をP社、子会社をS社としましょう。
親会社P社は子会社S社の”支配”を獲得しています。
支配を獲得している会社を親会社、支配されている会社を子会社といいます。
この”支配”というのはなんだ?という話なんですが、これは「子会社の意思決定機関を支配」している、という意味です。
会社が他の会社の議決権株式の50%以上を獲得すると、その会社の株主総会で自分たちの意見を通し、経営方針を決めることができます。他にも自分たちが決めた取締役を、50%以上取得した会社の取締役会に参加させることができたりします。
この状態を”支配”といいます。
つまり親会社P社は子会社S社の経営方針について、自分たちの思い通りにコントロールできるということです。
これが親会社と子会社の関係になります。
簿記2級だと、議決権株式の持分割合が過半数(50%超)かどうかで判断すれば大丈夫です。
非支配株主とは
例えばP社がS社の議決権株式を70%取得したとします。
そうすると、P社が親会社、S社が子会社になりますね。
しかしP社は、S社の議決権株式のうち30%は取得していないわけです。
つまり30%分は支配できていないということですね。
この残り30%は色々な株主達に保有されている分になるのですが、この人たちを非支配株主といいます。
残り30%の株主達はS社を支配はしていないけど、S社の株主ではある。だから非支配株主というわけです。
連結会計の手順
連結する、とは親会社と子会社のBSPLを合算して1つにするということです。
親会社P社と、支配されている子会社S社は1つの”グループ”として捉えられます。
このグループ全体でいくら設けているの?というのを示すのが連結会計です。
しかし、ここで気を付けないといけないのが、P社とS社の間で行われた取引です。
例えばP社が100円で仕入れた商品をS社に利益20円を追加して120円で売り、それが期末の在庫として計上されているとしましょう。
S社では商品120円として計上されていますが、P社とS社を1つのグループとして考えた場合、本来の仕入額はP社の仕入額100円でないとおかしいです。
120円はあくまでP社がS社に利益20円を付した額ですからね。
なので、この差額20円分は調整しなければいけません。
この利益20円は、まだP社S社グループの外部に売っていない、つまり実現していない利益ということで未実現利益といいます。
こうした未実現利益を調整する仕訳を成果連結といいます。
一方で、BS上で考えると、P社の持っているS社子会社株式とS社の資本金や利益剰余金とは対応関係になります。
このままP社S社のBSを合算すると、上記資本金や利益剰余金の分が2重計上になってしまいます。
したがって、2重計上をさけるために、相殺する必要がでてきます。
親会社の投資(親会社で計上されている「子会社株式」勘定)と子会社の資本(子会社で計上されている「資本金」、「資本剰余金」、「利益剰余金」)を、相殺する連結修正仕訳・処理のことを資本連結といいます。
なんのことか理解しきれなかったという人は、とりあえず資本連結というものをしないといけないんだな、ということだけでも覚えておいてください。
こうした成果連結や資本連結を行って、親子会社間でやっている取引を相殺消去するのが連結仕訳になります。
まとめると、親会社P社と子会社S社のBSPLを単純合算して、成果連結と資本連結により親子会社間の取引を相殺消去するのが連結会計といいます。
成果連結について
先ほど説明した成果連結に関して、親会社→子会社にした取引をダウンストリーム、子会社→親会社にした取引をアップストリームといいます。
先ほど同様、P社が100円で仕入れた商品をS社に利益20円を追加して120円で売り、それが期末の在庫として計上されている状況を想定しましょう。
親会社→子会社なのでこれはダウンストリーム。
この場合、未実現利益20円を消去して、売上原価20 / 商品20 という仕訳をします。
この相殺分は全て親会社に負担させます。
逆にS社がP社に商品を120円で売った場合はどうなるでしょう。
子会社→親会社なのでこれはアップストリームになります。
売上原価20 / 商品20
という取引をするのは一緒ですが、今回は親会社だけでなく、非支配株主にも相殺分を負担させます。
親会社がS社議決権株式の70%を取得している状態では、S社の30%分は非支配株主の持ち分となります。
この持分30%分だけ、未実現利益の相殺額は非支配株主のもの、ということです。
したがって、売上原価20 / 商品20 の後に
非支配株主持分(BS科目) 6 / 非支配株主持に帰属する当期純利益(PL科目)6という相殺仕訳をきって、非支配株主に負担させます。(未実現利益20円の30%分で6円)
これがアップストリームです。
更なる説明は、下記記事で解説しているので、そちらをご覧ください。
資本連結
資本連結については説明がこみいってきますので、私の別記事をご参照ください。
親会社の投資と子会社の資本を、相殺する連結修正仕訳・処理のことを資本連結という、ということをまず頭にいれておいてください。
また、資本取引の計算を行う時は必ずタイムテーブルを書くようにしてください。それ抜きだと頭がごちゃごちゃになります。(タイムテーブルの書き方は上記別記事で説明しています。)
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございます。
以上で連結会計で使う基本的な用語と、連結会計の考え方の説明は終わりです。
連結会計を勉強するうえでは、まず用語の意味を理解することと、連結会計の手順を把握すること、成果連結・資本連結の計算の基本を、何度も計算練習して身につけることが重要です。
計算の基本は上記で紹介した別記事で解説しています。
連結会計は最初はとっつきにくく感じるかもしれませんが、いったん身につけてしまえば安定して点数を狙える分野でもあります。
また、簿記2級ではかなりの確率で連結会計の問題が出題されます。
なので、連結会計を捨てず、何度も計算練習を重ねて身につけるようにしてください。
それでは、また。