心理療法の1つに読書療法というものがあります。
これは、読書を用いて心理的な支援を行う療法です。
読書療法により、認知行動療法というものを学んでいます。
私は一時期うつ病になってしまい、その治療を現在も進めております。
中々症状の改善が見えなかった時に、かかりつけのお医者様におすすめされたのがこの読書療法です。
この方法が、下記の理由により私には結構あっていました。
・本なので、何度でも繰り返して読める
・誰にも邪魔されず、一人で集中できる
・体系的に、うつへの対応策が知れる
同じようにメンタルを崩しかけていらっしゃる方の本の一助になりますように、私が読書療法で実際に使っている本のご紹介をさせていただきたいと思います。
なお、この記事の目的は、メンタル不調を自己解決できるようにすることではありません。
本当に精神的に追い詰められているな、と感じる方はまず病院にいって診察を受けてください。
症状が重い場合、自分一人の力でなんとかするのはまず不可能なので、真っ先にお医者様の診断を受けることが先決になります。
目次
認知行動療法入門
私が最初にお医者様におすすめされたのがこの本でした。
これは看護師等のケアする人がセルフケアのためになるよう書かれた本です。
読者様が自分で使うことを想定している本のため、大変わかりやすく、入門用に良い本となっています。
認知行動療法とはいったいどういったものか、というのを基本モデルや階層的認知モデルといった視点で説明をしてくれています。
また、認知行動療法のモデルを使って自分の体験を理解したり整理したりする”アセスメント”というもののやり方が説明されております。
本書では、3人の登場人物の事例をもとに、その体験をアセスメントする、という形式になっております。
この本の使い勝手の良いところは、”アセスメントシート”と呼ばれる、アセスメントを行うためのシートが掲載されていることです。
そのシートに従って記入をしていくと、自分自身でもアセスメントができ、メンタルの理解や整理に役立ちます。
さらに、このアセスメントを通して、認知再構成法という「自分をつらくさせる思考を、自分をつらくさせない新たな思考に置き換える」という方法についても別途シートがあり、自身の思考を置き換える手助けをしてくれます。
具体的なカウンセリング事例付きでわかりやすく、認知行動療法とはどういったものか、という概略がつかめるため、まずこの本を読んでみることをおすすめします。
なお、この本は2巻まであります。
認知行動療法入門2
こちらは、認知行動療法入門の直接の続きとなっており、追加で3人のカウンセリング事例と、アセスメントの経緯が紹介されております。
この2巻の第4章に、紹介した理論・技法・ツールがまとめて掲載されておりますので、本書で紹介されたことを要約したい、という方に大変向いております。
また、この本の5章に、”さらに学びたい人へのガイド”、として他の認知行動療法の本が紹介されております。
私は、この章で紹介されている本を購入し、認知行動療法への更なる理解を深めております。
こころが晴れるノート
この本はワークブック形式になっており、本書に直接書き込む形で使えるため、こちらも非常に使いやすいです。
この本では”自動思考”と”スキーマ”というものがキーワードになっております。
”自動思考”とは、瞬間瞬間に頭に浮かんでくる考えやイメージのことであり、私たちの現実の見方になります。
”スキーマ”とは自動思考を生み出すもとになっている考え方のクセです。
例えば「なんでも完璧にしなければならない」「誰からも嫌われないようにしないといけない」といった考え方の傾向、性格といったものです。
本書では、読者が自身の自動思考に気づき、それに大きな影響を与えるスキーマに働きかけることを標としています。
認知療法・認知行動療法カウンセリング
これは、先ほどご紹介した”認知行動療法入門”と同じ作者様が執筆された本になります。
認知行動療法入門で紹介された理論ややり方を、さらに具体的に知りたいという方向けの本になります。
認知行動療法入門に比べて、専門性や具体性が高い本になっており、やや難解な本となっております。
そのため、認知行動療法入門を読破し、更に知識を深めたいという方におススメです。
さらに、本書でもカウンセラーと患者のセッションが事例として載っており、さらに理解を深めてくれます。
いやな気分よ、さようなら コンパクト版
こちらはワークブックではなく、認知行動療法の研究についてと、その技法がたくさん紹介されている本になります。
うつ病に対する理論とその研究、自己評価を確立させ、虚無主義を克服する方法、憂鬱の根本原因、ストレスに打ち勝つ方法、等といったものが紹介されています。
ここでは本書の技法をいくつか紹介いたします。
自分が無価値だという考え方について、対話を重ねることにより、相手の自己批判的な思考のクセを見つけ出し、合理的な反応は何かを見つけ出す、という手法があります。
自分は何をやっても意味がない、という思い込みを克服するために、満足-予想表といったものを作成しています。
これは満足を求める行動に対し、予想される満足度と、実際の満足度を書いて比較することで、満足度に対しての自分の思考のクセを見出すものです。
また、誰かに対して怒りを抱いている人向けに、怒りの良い点と悪い点を書き出してもらい、本当に怒りが効果的かを分析する、という方法もあります。
似たような手法として、自身の中にある”暗黙の了解”(○○しなければならない)という考え方の長所と短所を書き込み分析することで、暗黙の了解を置き換えるといったものがあります。
以上、5例ほどあげさせていただきました。
こういった手法や分析、理論が440P にもわたり記載されており、かなり読み応えのある本となっております。
この本は認知行動療法について深く知れるので、おススメです。
まとめ
以上、私が読書療法につかっている本の紹介をさせていただきました。
最初は”認知行動療法入門”から読み始め、そこからより興味が向くようであれば、追加で他の本も読んでいく、というスタイルでよいのではないでしょうか。
私はこれらの書籍に書かれている技法を実際に行って、自己メンテナンスを定期的に行っております。
しかし、私の現状として、今でも投薬治療やお医者様との診察は続いており、残念ながら読書療法だけでうつが治るということではないと思っております。
それでも、自身を定期的にメンテナンスすることで、再発の可能性をより少なくし、前向きに毎日を生きていく助けになっていると感じています。
メンタルがやられてしまっている人、あるいはメンタルが危ないなと感じている人も、一度こういった本を読むことでメンタルに関する理解を深め、取り返しのつかないことにならないように予防をしておくのはいかがでしょうか。
それでは、また