今回はJ1あるいは公認会計士試験受験生向けの内容になります。
監査1年目はどういった過ごし方になるのか、また、どういったことに気を付ければいいのか、自分の経験を元に記載していきたいの思います
目次
監査で持っていくもの
監査法人に勤めて日が浅いうちは、色々と持っていくものがあります。
ざった箇条書きで列挙してみます。
・電卓
・名刺
・ふせん
・ホッチキス
・ラインマーカー
・調書用紙
・たこ足コンセント
こういったものです。主に、監査で使う筆記用具ですね。
たこ足コンセントですが、往査先でPCの電源ケーブルがあまりない場合も結構あるので、
持っていくと、こいつやるな、と思われるものです。
これにノートPCやポケット監査六法など持っていくと、カバンがかなりかさばると思います。
なので、会計士のビジネスバッグというのはペラペラしたものではなく、大容量のビジネスバッグになります。
腰を大事にしたい方は、リュックタイプのビジネスバッグをおすすめします。
座りっぱなしの作業は腰に負担がかかりやすく、慢性の腰痛持ちになってしまう人もいるので、リュックタイプのかばんを使っている会計士の方はそれなりにいます。
調書の作り方
まず監査法人に入りたてのJ1が任される調書として、人件費、その他資産負債、現預金、借入金、有価証券(論点なし)、純資産といったものがあります。
基本的に前期の調書がありますので、それを参考に作っていくことになると思います。
しかし、新人が良くやってしまうまずい手続として、前期調書をそのまま踏襲して調書を作ってしまうことです。
当期に監査手続が変わっている場合もありますし、そもそも前期の監査手続が不十分である場合もあるので、J1のうちは、割り当てられた担当科目の過去調書に目を通し、さらにアサイン先の企業環境に関する審査資料(法人毎に呼び名が違うかもしれないので、ざっくり書いていきます)と、監査手続の立案に関する監査資料が、インチャージによって作られているはずなので、それを事前に読み込んでおきましょう。
先輩に聞く力
監査を初めてやると、わけわからん、ということが次々にやってくると思います。
通常、監査法人は新人に研修を1~2週間ほどさせてから現場に送りますが、それでもわからないことが山のように出てきます。
先輩方も、新人が”何がわからないか、わからない”という状態だったりするので、教えてはくれるのですが、かなり限定的な範囲で教えてくると思われます。
わからないことは、まず前期調書や監査基準などで自分で調べてみるのが大事ですが、それでもわからなければ、素直に先輩に聞きましょう。
新人に質問されて嫌な顔をする人は監査法人にはあまりいないはずですので、大抵はちゃんと答えてくれると思います。
質問するときは、何度も尋ねなくてもいいように、わからない点をまとめる、そもそも何がわからないのかを明確に切り出す、といったことができるとなお良いです。
わかりませんで許されるのは新人のうちだけなので、新人の特権を利用して、ためらわずに質問しましょう。
わからないことをなぁなぁにしてJ2,J3を迎えてしまうと、使えない奴という烙印をおされてしまう場合もあるので、とにかくわからないことはちゃんと聞きましょう
新人でも役立てること
新人でも確実に役立てる、そして感謝されることは、雑用を積極的にかって出ることです。
監査における雑用とは、監査ファイルや監査六法等の一式を監査先に発送するのが主になります。
これは、アシスタントスタッフさんがやってくれるのですが、最初のうちは作業手順を知るために自分でやった方がいいです。
また、アシスタントスタッフさんに依頼する作業自体が何気に手間だったりするので、気を利かせて先輩の代わりに自分が依頼すると喜ばれます。
他に、会議室の予約や、監査先での監査ファイルの跡片付けなどが雑用になります。
これは、どちらにしろ誰かがやらないといけないことですので、それをあなたが積極的に行うことでやる気があることを示せますし、先輩からの印象もかなり良くなります。
内部統制監査の注意点
内部統制監査(特に整備評価)を初めてやる、しかも前期調書がある場合、新人がよくやってしまうまずい手続は、前期の作業をそのままマネして手早く終わらせてしまうことです。
本来、整備評価の場合、会社がやっている統制がそもそも適切なのか、統制に関する整備評価のやり方がそれで適切なのか、というところから考えていかなければなりません。
RCMやフローチャートといったものをよく見て、根本的なところから考えていく必要があります。
すでに内部統制がしっかり構築されている大手上場企業とかなら前期踏襲でも問題無く進む場合もありますが、これが、内部統制を初めてやる会社だとか、当期から新しい業務手続を増やしたとかだと、前期踏襲が通用しないわけです。
その時に、会社がやっている統制が適切か、統制に関する整備評価が適切なのか、ということを普段から考えている監査人と、単に前期踏襲でやっている監査人とで明確に差が出るわけです。
なので、内部統制監査を前期踏襲で流して終わらせることは、手続として非常にまずいということを覚えておいてください。
補修所と仕事
新人会計士のつらいところは、仕事がある平日に補修所の授業があることです。
また、定期考査や課題研究といった提出物も出さなければなりません。
J1のうちは授業が多く、それが大変になる場合もあるでしょう。
監査法人では、スタッフからシニアへの昇格条件の1つが、公認会計士登録をしていることです。
会計士登録には、補修所で所定の単位を取り、修了考査に合格しなければなりません。
補修所で単位を取り切れておらず修了考査を受けられない、であったり、修了考査が不合格だったりすると、それだけ昇進が遅れてしまいますので、補修所の授業にはしっかり出席し、単位を稼ぎましょう。
J2、J3になるにつれ、監査法人の仕事がどんどん忙しくなってくるので、補修所の単位はJ1のうちにできるだけとっておき、定期考査や課題研究で必要な点を取れなかった場合もJ1のうちに再試験、再提出を行っておきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
新人の時はとにかくわからないことだらけで、J2、J3の先輩とのレベル差にがくぜんとすることもあるかと思われます。
しかし、わからないことは先輩にしっかり聞き、仕事を真面目にこなしていれば、1年でかなり実力が伸びます。
一番大事なことは何か、をあえて言うならば、適切に質問することです。
自分はなにがわからないのか、をきちんと切り出して質問し、一度聞いたことはメモをとり、再度聞かなくてもいいようにする。
素直に、そして十分な量の質問をする。
新人のうちは、これが1番大事だと思います。
それでは、また