皆様は人と会話している時、”聞く”ことにどれだけ注力していますでしょうか。
話すことにばかり注力して聞くことに意識がいっていない場合もあるのではないでしょうか。
本書では、聞くことの重要性、聞くことのもたらすパワー、それが他者に与える影響について、興味深い洞察がなされています。
目次
どんな本なの?
ジャーナリストである著者が、聞くことに関する長年の洞察と、様々な研究結果をもとに、”聞く”ことの重要性について述べているのが本書になります。
まず本書で作者は”聞くこと”が忘れられている、人はきちんと話を聞いてもらえた経験が少ないということを指摘しています。
聞く、というのは受動的な行動ではなく、積極的に相手の話を引き出していくことです。相手に興味をもって、相手の話を素直に聞くことになります。
人は話を聞いてもらえないと感じると孤独を感じると本書では述べています。また、聴くことで自身への理解を深めてくれるとも、本書では書かれています。
”聴く”ということ
聴くことは、単なるあいづちや、おうむ返しをすることではないと作者は述べています。会話のテクニックでよく言われるような、適度な相槌をすること等は実際に聴くテクニックではなく、相手の言うことに興味をもって耳を傾けることです。
よい聞き手、とは話し手と同じ感情になって聞ける人であり、相手への共感が鍵になります。
また、「次になにを言おう」「うまい言葉は何か」と頭の中で考えていると、相手の話を聞くことへの集中が妨げられ、聴くことを上手くできくなります。
相手が何を伝えようとしているのか、そのことに集中し、そこから自然に出た疑問点を質問として述べることで、”聴く”ことが効果的に行えます。
チームでの聴く技術についても言及されています。
もっとも生産性の高いチームとは、全員の発言力が同じくらいのチームです。誰か一人が一方的に喋っていたり、誰かの発言をすぐに否定したり、といったことをせずに、全員が安心して話しを聴いてもらえる場を作ることで、発言が促され、チームとしての生産力が高まります。
相手の話をコントロールしようとはせずに、安心ポジティブに話ができる場づくりをすることが重要になります。
話を聞く時、アドバイスをしようと思って聞くと失敗するというのが本書での主張です。
相手にどうアドバイスしようか、と思って聞くのではなく、相手の発言の真意は何かにフォーカスして聞き出すことで、相手が真に悩んでいること、真の問題点が浮き彫りになり、結果として相手の問題解決に役立ちます。
話に”間”ができると人は気まずい思いを感じます。しかし、この”間”が大事であると本書では述べられています。
相手が頭の中で検討していることが言葉になるまで待つ、意識的に間の時間を設けることで、相手の本当の望みが引き出せるようになります。
まとめ
本書は話を聞くことのテクニックに言及するというよりも、話を聞くとはどういうことなのか、話を聴くことでもたらされる効果、話を聴いてもらえないことで起こる数々のデメリットについて言及されています。
話を”聴く”ということに対する強い関心を持っている筆者の知見が480ページにも渡り詳細にかかれています。
当ブログで紹介したことは本書の本の一部であり、実際に本を読むことで、また違った、さらに深い知見を得ることができます。
会話のテクニック本は多々ありますが、ここまで”聴く”ことの重要性や事例についてフォーカスした本というのはあまり無いのではないかと思います。
相手との会話が上手くいかない、相手が何をいいたいのかわからない、といった人や、人の話を聴く必要のあるポジションの人には、是非とも本書を手にとっていただきたいと思います。
それでは、また。