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書評No.5 先生ビジネス”マーケティング”の教科書

どんな本なの?

”先生業”(士業やコンサルタント、カウンセラー、トレーナーといった専門知識を武器に展開するもの)のビジネスについて、どうしたら顧客を安定的に高単価で獲得できるのか、を書いているのが本書になります。

こうした先生業で独立を考えている、あるいは既に独立をしている方向きの本です。

著者の五十嵐氏は実際に先生業に対するコーチングをしており、数多くの実績を積んでいる方です。

本書では顧客獲得の能力を7つに分けて解説しています。

顧客獲得の7つの力

①選ばれる理由を作る「独自力」

②価値を伝える「伝達力」

③売れるパッケージを作る「商品力」

④見込み客を集め教える「集客力」

⑤セミナー活用による「高額力」

⑥顧客を獲得する「決定力」

⑦人脈を広げる「仲間力」

以上が顧客獲得の7つの能力となります。

具体的には?

このなかで、著者は①~③の力が基本と考えており、この3つをベースに商品を作り込んでいくことが重要であると述べています。

独自力とは、まずターゲットとする顧客を明確に決め、自身の商品が選ばれるように、事業コンセプトを作り込んでいこうというものです。そのために、自己棚卸を徹底的に行い、また、市場調査をして、類似商品の有無やニーズについて調査が必要と述べています。

独自力を磨いたら、その価値を伝えるのが伝達力です。伝達力では主に商品パッケージを売る自分自身の肩書やプロフィール作成、キャッチコピー作成の重要性が説かれています。これも自社商品を選んでもらう大事な要素のため、徹底的に作り込みます。

高単価で顧客獲得する商品パッケージを考え、作り込んでいくことを商品力といっています。ここで提供する商品パッケージの提供内容や手順、ノウハウ、そして提供する価格を決めていくことになります。

ここで大事なのが、独自力・伝達力を磨き、自身の商品パッケージが他の商品とは違うものだというメッセージを明確にすることです。

他の商品と同様な売り出し方、例えば”一般の税理士顧問業務”を売りにしてしまうと、”同じような税理士顧問業務の相場価格”で比較されることになってしまいます。そうなると、厳しい価格競争に巻き込まれ、全然儲からないような状態になってしまうため、それを防ぐために、独自力・伝達力・商品力を高めていくことがとても重要になってきます。

商品パッケージを作ったら、事前に仮設検証テストを行うことが大事です。一度見込み客のところにチラシを作製して持って行ったり、セミナーを開催してみたりして、作成した商品パッケージが本当に売れるものなのかをテストすることです。そして、良い手ごたえが無かったら、再び商品パッケージを作り直して、好感触になるまで繰り返すことが重要となります。

以上3つの力を徹底的に高めた後、他の力を磨いていきます。

例えば、集客力では、SNSやブログを活用した集客方法を述べています。

高額力の章では、セミナーを活用することで、商品パッケージの単価や顧客数を増額させる顧客獲得型セミナーを薦めています。

ここでのセミナーですが、目的はセミナーから個別相談に顧客を導き、そこで商品の契約をつかむためのクロージングをする、というものです。これを決定力といっています。

そして、先生業ビジネスは他の先生業ビジネスとの紹介のし合いで、成長が加速することを述べています。例えば就労規則を社労士に作ってもらった会社が、税務業務をお願いしたいという時に、その社労士が知り合いの税理士を紹介する、といった具合です。こうした紹介の輪を作っていける仲間力の向上を本書はすすめていきます。

まとめ

本書は、税理士、社会保険労務士、司法書士、弁護士、コーチ、ファイナンシャルプランナー、占星術師、エステシャン等、人に教える機会のある数多くの職種に対応していける、まさしく教科書、といった内容になっています。

どの業種でも、提供する商品パッケージを作り込み、それが売れるかの仮設検証を行い、実際に顧客に売り出し、様々な手段で契約につなげていく仕組みを作る、という本書の方法を採用することは可能ですし、その意味で再現性の高い本だと思います。

今回の書評で書いたことは、極々簡単な要約であり、本書では上記のノウハウが詳細かつ濃密に書かれています。

これから独立しようと思っている方、すでに独立している方も、様々いると思います。

営業をしたことが無いし、その自信が無い。低価格でしか仕事の受注ができず、忙しいにも関わらず売上が伸びない。どのようなビジネスをしていいのかわからない。といった悩みをお持ちの方に、おススメの書籍です。

この本を手に、是非自身のビジネスを拡大していっていただきたいと思います。それではグッドラック

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