会計士はクライアントとのコミュニケーションが非常に大事です。
特に、会計上の論点や問題点をわかりやすく伝え、理解してもらうということが必要になります。
今回は、そうした伝わる技術、というものについての本をご紹介いたします。
目次
伝え方の様々な技術
伝わるための技術の1つは「信頼感」です。正直に話すことで信頼感が生まれ、信頼感のある人の言葉はスルスル入ってくるものです。
ここでは「伝える」と「伝わる」を使い分けています。
「伝わる」→相手主体、「伝える」→自分主体。ここでは主に「伝わる」技術についての解説をしていきます。
まず伝わることの大切なマインドセットとして、「仕事に恥ずかしさを持ち込んではいけない。性格と仕事は切り離せ」ということです。
つまり、仕事を性格と切り離し、恥ずかしがり屋でも、その性格と切り離して伝えることを意識する、ということです。性格を切り離し、別人格になったつもりで伝えるということです。
確実に伝えるためには、「繰り返し伝えること」が必要です。
人は基本的に話をあまり覚えていないからです。これはエビングハウスの忘却曲線というもので、人は20分後には約42パーセントを忘れると言われています。
したがって、重要な忘れて欲しくないことは、繰り返し伝えるということが大事です。
伝わる構造は7段階あります。
①ゴール設定→話の着地点を示します
②納得感→相手の納得感がないと、伝わったことにはなりません。
③相手ベース→こちらが伝えたいことを一方的に言うのではなく、相手が腑に落ちていることが大事です。
④見える化→相手の頭の中に、具体的なイメージが浮かぶように話すということ。
⑤聞く力→大事なのは、相手に必要なことを紹介することなので、相手の話をとにかくよく聞いて、自分たちの話のどこに必要性があるのかを見つけ出すということです。話を聞いてくれたことで、相手に返報性の原理(お返しをしないと考えること)が生まれるからです。
⑥親近感→まず相手の話を聞いて距離を縮め、親近感を生むことで、相手はあなたの言うことを聞いてみようと思うようになります。
⑦信頼感→誠実さ・素直さ、スキル・能力、結果・成果、接触頻度、モラル、関心、意義・価値・動機によって信頼感が醸成されていきます。
ちなみに雑談を、”相手の緊張を解すアイスブレイクをしなければ”、と考えるととかえって上手くいきません。
雑談の目標を「相手と仲良くするためにするもの」、と目的を変えると上手くいく場合があります。
比較をしないと、相手に伝わりません。相手の理解が得にくい場合は比較を使いましょう。
「ファクトを伝える」と「メンタルを伝える」は分けて考えることが大事です。
例えば、上司が部下に「なぜちゃんと報告しなかったんだ、そのせいでトラブルが大きくなったじゃないか!」と伝えたとします。
上司からすれば、「二度と同じことをしないように」と部下のことを思って伝えたかったとします。
この場合、「なぜちゃんと報告しなかったのか」はファクトを伝える言葉であり、「そのせいでトラブルが大きくなったじゃないか!」はファクトとメンタルが混ざっています。
これではメンタルの言葉の印象が強すぎて、「ただ怒りたいだけ」と部下に捉えられてしまい、「二度と同じ失敗をしないように」という上司のメッセージが伝わらない可能性が高まります。
このように、ファクトとメンタルの言葉を分けて考え、伝えることを意識するだけでも伝わる力が向上いたします。
言い換えを使うことは、なかなか相手が納得しないときや、ストレートに伝えるときつく聞こえてしまう時に力を発揮します。
例えば「どうして、いつも遅刻するの」を「どうして、遅刻するの」と、いつもを削る。
「なんで失敗してしまったんだ」ということを、「失敗→課題発見」と言い換える、等です。
何かに例えること、間を置き相手に考える時間を作ること、数字を使うことで、相手にハッキリと理解させる、という方法もあります。
伝えるのが面倒な人への対応策
面倒なタイプ毎に、各対応策があります。
「すぐ否定するする人への対応策」→好みや思い込みをベースにした部分的な否定をされたとき、話を広いところにもっていけばよい。
そのためには話題を変えることが有効です。スムーズに話題を変えるコツは、ゴールの確認をすることです。
「重箱の隅をつつく人」への対応策→複数人で話をしている場合、こういう人はできるだけ話に入らせないようにするとよいです。
こういうタイプの人に対して、気を使った上でこの手段を使う場合、まずできるだけ相手を否定せず、受け止めることです。その上で、ゴールや目的を確認します。
議論が本質からずれてしまうことを避けるわけです。
「話が広がらない人」への対応策→質問を適度に使うといいです。質問は、話題を逸らすものではなく、話を深める、次の会話につながるヒントを話してくれそうな内容にする、ということが重要です。
「話しかけにくい人(感情的になりやすいタイプの人)」への対応策→感情的になりやすいタイプの人の場合、相手はなぜ感情的になっているのか、研究者視点で相手を見て、目の前で起きている不快なことやネガティブなことを自分の学びに転換することが有効です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
かなり箇条書き、かつ端的に説明をしたため、わかりにくい部分もあったかと思われます。
これは、本書では伝わる技術のノウハウがそれだけぎっしり詰まっており、それをできるだけ簡潔に説明しようとしたためです。
より詳細な内容を知りたい方は、ぜひ本書をご覧ください。
特に、それぞれの伝えるテクニックや対応策について、何故そうなるのか、という理論的なところを深堀して読むのがおススメです。より深くコミュニケーションについて、理解できるでしょう。
それでは、また