ビジネス

書評No.14 LIFE SHITY2 100年時代の行動戦略

皆さんご存じの通り、日本は今急激な少子高齢化が社会問題となっております。

本書では、高齢化がすすみ、平均寿命が大幅に伸びていく中で、どういった人生の戦略をたてればよいのかについて紹介されています。

また、テクノロジーの進化に対して、私たちはどう対応していったらいいのかいついても述べられています。

テクノロジーの進歩

こんにちの社会では、様々なテクノロジーが進化しています。

ここでよく取り沙汰されるのが、テクノロジーの進歩による自動化が進み、私たちの雇用が奪われるのではないか、という議論です。

確かにAI分野などでのテクノロジーはさらに進化し、単純労働だけではなく、認知的な機能についても機械が代用する社会となってまいりました。

そうした中で、当然淘汰される仕事もありますが、逆にAIの管理・保守点検や、プログラムの作成といった仕事は増えていくと予想されます。

つまり、既存の仕事が無くなるのと同様に、新しい仕事が生み出されていくという状態です。

ここで重要なのが、新しい仕事に対応するだけのスキルを私たちが学んでいかなければならないということです。

そうしたスキルの学習のためには、政府や教育機関での支援が必要だと、本書では述べられています。

また、私たちは今後、将来に渡って継続的な学習が必要であり、新たなテクノロジーについていかないといけない、という主張も本書でされています。

人生のあり方について

今後は、テクノロジーの進歩もあいまって、ますます平均寿命が延びていくことが考えられます。

今までは、子供時代を過ごし、会社に定年まで勤め、引退後は年金をもらって生活するという3つのライフステージで人々は過ごしてきました。

しかし、社会が少子高齢化していく中で、年金制度は破綻をきたし、年金受給可能年齢の引き上げがなされるようになりました。

こういった社会では、定年退職後も引き続き働いて賃金を得る必要がでてきており、引退後にセカンドキャリアを積む、といったように、ライフステージに変化が出てきています。

この状況で、私たちは年を取った後でも、新たに勉強をし、新しいスキルを身につける必要がでてきます。

さらに、老後資金の獲得のためには投資をして、自己の資金を増やしていくことも必要となるでしょう。

投資に関しては”複利”の原理が働きます。投資によって増えたお金をさらに投資にまわすことによって、お金を雪だるま式に増加させるのが複利です。

これは早く始めたほうが、より複利の効果を得られるため、老後のためにも、早めに取り組むとよいでしょう。

学ぶこと

高齢化が進むにつれて、また、テクノロジーの進歩が進むにつれて、私たちは新しい物事を学んでいかなければなりません。

自身のキャリアを次のステージに進める”移行”は簡単なことではなく、かなりの学習や努力を必要とします。

しかし、ライフステージの多様化に伴い、私たちは子供時代→労働→引退という3つの移行だけではなく、多くの移行をする必要が生じます。

そうした移行にそなえるためにも、継続した学習、例えば英語を学ぶであるとか、プログラミングを学ぶ等といった、それぞれの将来設計に応じた学習が必要となってきます。

寿命の延長に伴って、私たちが使える余暇の時間も増えていくと考えられます。

例えば、現職を定年退職したあと、数年を学習に使い、新たなキャリアをスタートさせる、というのも、今後は選択肢に入るでしょう。

働き方はさらに多様化すると考えられます。

現在、一部企業では、フルタイムではなく時短勤務にしたり、給与が下がるかわりに週休3日制を導入するという事例が出てきました。

あるいは正規雇用ではなく、フリーランスで働く、という選択肢も考えられます。

そうした変化により、人々の余暇時間は増えると推測されます。

増えた余暇時間を学習に費やし、自身のキャリア選択肢を増やしていくのがよいでしょう。

人々の関係

人が生活により幸福感を感じるのはどんな状態か、というのを調べる研究があります。

その研究によると、人は、友人や知人との深い関わりを持ち、社会に自分の居場所があると感じられているとき最も幸福を感じる、という結果が出ました。

これは、老後の生活のあり方を考えさせられるものです。

仮に定年退職した後、職場以外の繋がりが全くないとしたら、他人との関わりが著しく減るでしょう。先ほどの研究によれば、これは幸福度の低下に非常に繋がりやすい状態となります。

そうならないために、新たなコミュニティへの接触をし、関わっていくことが重要となります。

生涯を通じて関わっていけるコミュニティを見つけることが大事です。

また、仕事においても、セカンドキャリアという考えが浸透していくにつれて、年下の上司や、高齢者の部下をもつ、といった事例も増えていくと思われます。

世代間の固定観念というものがあります(日本だと団塊世代やゆとり世代等)。

しかし、多様な年齢やキャリア層ができていくこれからの社会では、そうした固定観念を無くし、うまく関係を構築していく必要があります。

世代間のレッテル張りをやめ、自身の所属するコミュニティを大事にしましょう。

まとめ

これからの高齢化、かつテクノロジーが急速に進歩していく社会のなかで、私たちはこれまでのライフステージや学習、世代間の隔たりといったことに関する考え方を刷新していく必要があります。

それは、私たち個人個人が意識して行っていくことももちろん大事ですが、本書では、こうした必要性に対して、企業の課題、教育機関の課題、政府の課題といったものを指摘してもいます。

これからの人生設計を大きく変化させていく必要があるなかで、個人だけではなく、社会のあらゆるセクションで、こうした変化に対応していく必要がある、ということです。

それでは、また

-ビジネス