今回は公認会計士試験 受験者様向けの内容となります。
公認会計士試験 受験者の皆様、日々の勉強、誠にお疲れ様です。
今回は、日々頑張っていらっしゃる皆様の参考に僅かにでもなることを願って、私の会計士試験勉強体験記、及び注意しておいた方がいいポイントについて記述していこうと思います。よろしくお願いいたします。
なお、私が会計士試験勉強をしたのは、今から10年以上前になっており、当時とは、試験範囲や出題される問題傾向等にも変更が加えられているかと思います。
なので、細かい論点の紹介というよりは、大きな視点での総括的な勉強方法のまとめとさせていただきました。
目次
勉強時間を確保する
私が会計士試験勉強を始めてすぐに予備校の講師の方に言われたことは「1日10時間勉強すれば2年で合格できる」というものでした。
当初私は「そんなに勉強できない」「さすがにそこまでやらなくても受かるだろう」、と高をくくっておりました。
そうして迎えた1年目の会計士試験は悲惨の一言でした。
模試でも試験本番でも、全科目全く合格ラインに届かず、”1日10時間の勉強”というのが誇張でも何でもない事実だったということを痛感させられました。
というのも、会計士試験は基本的なことを漏れなく押さえている人が受かる試験なのですが、この”基本的なこと”の範囲がとても広く、まず勉強時間を一定以上確保して、それらの論点を押さえきる、ということができていないと、勝負のラインにも立てません。
なので、1日10時間、あるいはそれ以上の絶対的な勉強量の確保が必要になってくるわけです。
勉強において、量より質が大事、とはよく言われます。
しかし、予備校の講師の方に言われたことなのですが「勉強の質は圧倒的な量の上にできる」「まず一定時間の勉強量を確保して、初めて勉強の質がものをいう」ということで、”量より質は大事だけど、その質を担保するためにはまず量を確保しないとダメだよね”ということです。
なので、会計士試験勉強者の方は、とにかく1日毎の勉強量を確保してください。
週末にまとめてやる、といった方法はおすすめしません。
というのも、1日10時間ほど勉強にあてると、集中力の限界がやってきます。
それ以上はいくら勉強しても、その日はこれ以上頭に入らないというリミットがあります。例えば週末にまとめて20時間勉強する、といったことをしても、恐らくその日の後半に勉強した内容は、あまり定着しないでしょう。
したがって、この”勉強時間を1日10時間程確保する”というのを絶対条件として、意識して勉強してください。
日々の学業や仕事があると思われますので、早朝、電車等での移動時間、休み時間、帰宅後、というようにスキマ時間を使って勉強時間を確保するのが良いと思います。
計算問題の勉強
会計士試験で必要とされる計算科目として、財務会計論・管理会計論・租税法・経営学(選択科目による)があります。
これらの勉強の仕方として、必ず自分で手を動かして、回答を見ずに一度解いてみる、というのが鉄則です。
解答だけをみて解き方を理解したつもりになっても、実際の試験では役に立ちません。
これはなぜかというと、会計士試験はとにかく問題処理のスピードが問われる試験だからです。
会計士試験の問題量は膨大です。そして、短答式の具体的な点数としては、財務会計論200点・管理会計論100点・監査論100点・企業法100の計500点満点。
合格ラインにいたるためには、このうちの70%以上、350点をとることが目的となります。
注目していただきたいのが、財務会計論が200点と、比重が高いことです。このうち6-7割が計算問題だと思ってください。
これだけの得点比率が計算問題にかかるため、とにかく計算の速さ、正確さが求められます。
目安としては、問題を見た瞬間にその問題の解法が頭に浮かんで、瞬時に計算を正確にできること、が必要です。もちろんこれは応用問題であっても同じです。
つまり合格ラインにのる計算力というのは、解き方が頭に入っている、という程度では全然足りなくて、以下の3つの能力が必要になってきます。
①どの解き方が必要か瞬時に頭に浮かぶ
②応用問題でも、瞬時に既存の知識と照らし合わせて解法が導きだせる
③それらの計算を正確に行う。
これだけの能力を身につけるには、とにかく実際に手を動かして、なおかつ時間をシビアに計測して、速くかつ正確に計算ができるまで、繰り返して練習することです。
解法だけみて理解するだけでは全く足りない、ということが理解いただけたでしょうか。
財務会計論にフォーカスして述べましたが、これは管理会計論や租税法でも同じことがいえます。
理論問題の勉強
短答式試験の理論というのは、とにかく微に入り細を穿つといったような、細かい知識を問われます
なので、予備校のテキストブックは隅から隅まで、それこそ注釈の内容まで頭にいれておく必要があります。
なお、微妙なニュアンスの違いをついてきたり、引っ掛けの選択肢を巧妙に作成されているため、「マークシートだから多少知識があいまいでも解けるだろう」、といった考えは通用しません。筋道をたてて、各科目の理論を勉強する必要があります。
ここで大事なのが、基本的な事項を漏らさず理解しきる、ということと、”どこまでが基本なのかを把握しておく”ということです。
先ほども述べましたが、会計士試験は押さえておかないといけない基本的な事項がとにかく多い上、範囲も広いです。
予備校のテキストの注釈にのっているぐらいのレベルのものが基本事項だった、ということもよくあります。
こう言うと、あまりに細かい知識まで覚えきろうとする方がいらっしゃいます。しかし、これは合格が遠のく第一歩です。
何度もいいますが、会計士試験の基本事項は膨大です。それを漏らさず押さえておかないといけないということは、逆に、基本的ではない枝葉の知識に構っているヒマはないということでもあります。
なので、予備校に通っていらっしゃる方は、とにかく基本的な事項はどこなのかを予備校講師にこまめに確認して、知識にもれが無いか、あるいは無駄な知識を覚えにいこうとしていないか、ということに気を付けてください。
私はこの作業があいまいだったため、2年間勉強しても、ほとんど理論の点数があがりませんでした。
3年目に入るぐらいの時にこのことに気づき、予備校講師に自身の勉強範囲を相談したところ、覚える必要のある知識にかなり漏れがあることに気づかされました。
その部分を潰すことで、ようやく3年目に合格となりました。
皆様におかれましても、時間を無為に浪費しないために、こういった基本的事項の確認作業をぜひ行ってください。
論文式試験の勉強
先ほどまでが、主に短答式試験の勉強法だったので、ここからは論文式試験の勉強法について記述していきます。
論文式試験の計算問題について、財務会計論と管理会計論の計算問題に関しましては、短答式とレベルの差はあまりありません。
したがって、この2科目に関しましては、短答式の時の計算レベルを落さないように、毎日手を動かして勉強してください。
経営学に関しましては、管理会計論と計算問題の範囲が被っているところがあることと、計算問題が上記2つの簿記科目に比べれば優しいことから、基礎的な事項をきちんと手を動かして勉強していれば合格ラインまでいけることでしょう。
問題は租税法です。論文式試験から追加される項目に加え、計算問題が相応に難しいため、この科目に苦手意識を持っていらっしゃる方も少なからずいるのではないでしょうか。
租税法で合格ラインにいく方法としましては、とにかく”部分点を狙って取っていく”ことです。
例えば、法人税で別表1、4,5の作成問題が出たとします。
かなり細かい論点で複雑な計算が必要な項目がある一方で、PLからの転記、別表5からの転記などで一瞬で解ける項目もあります。
そういった簡単に解ける論点を漏らさずに勉強し、確実に点をとっていくことが合格に繋がります。
ほかにも所得税の給与計算問題などもそれにあたります。
消費税に関しては、1から計算をして、消費税申告書を作成する問題が出るとします。
この場合も、PLからの転記等、とりやすい論点というのはありますので、そういったところを漏らさず計算していきましょう。
ただし、ここでもやはり”基本的な論点を漏らさずとっていく”という考えが大事になります。
とにかく基本論点は全て押さえにかかりましょう。簡単な部分だけでなく、難しい論点の勉強も、それが基本であれば手を動かして計算し、確実にできるようにしておきましょう。
そのうえで、試験本番では解きやすい問題から解いていく。これが合格の近道になります。
論文式試験の理論問題
論文式試験の理論問題について、こちらも手を動かしてまず問題をとき、そのあと解答をみて、自分の記述した論点にもれがないか、論点への解答方向がずれていないかということを確認し、漏れやズレがあればその部分を覚え込む、という勉強が必要になってきます。
とくに監査論や企業法では論述問題の比重がほぼ100%ですから、上記の勉強方法を実践していないと、合格レベルの解答はできません。しかも、問題量と解答時間を比べると、かなりシビアな時間管理が求められます。
ここでは問題を見て
①問われている論点を漏らさず抜き出して記述する
②問われている論点についての解法が瞬時に頭に浮かぶ、
③浮かんだ解法を、矛盾や記入漏れが無いように書ききる、
という能力が必要になってきます。
この①~③の能力を身につけるためには、解答だけを見て覚えるような勉強法では全然足りず、実際に手を動かして、所定の制限時間内に解いてみる勉強法が絶対に必用になってきます。
逆に、この勉強方法を、予備校で教わる基本的な論点全てに対し実施することで(特に予備校で重要度Aと言われているような論点は確実に押さえておく。)合格への道が開けてきます。
ところで、論文式試験で、論点とその解は押さえて記述しているのに点数が上がらない、という場合があります。
これは、文章の構成がおかしい時に起こることです。
例えば”しかし”ということばで逆説の理論を展開するつもり(AではなくBだ)だったはずなのに、最終的に順接の論じ方で文章が終了してしまっている(AだからBだ)ような書き方をすると、点数が上がりません。
論文式試験というだけあって、解答の記述は論理的でなければなりません。
自分の論じ方が適切かどうかは、論文式試験の模試の答案が帰ってきたら、講師の方の答案の指摘を確認して自分の論じ方で問題が無いかを確認する、といった”第3者の評価”をうけることが大事です。
自分で模範解答と照らし合わせるだけでは、論述の仕方の問題点には中々気づきにくいです。
したがって、模試を受けられる環境であれば、論じ方の練習のために必ず模試を受ける。そういった環境でなければ、周りの知り合いに答案を確認してもらって、アドバイスを受ける、といったことが必要になってきます。
まとめ
以上、公認会計士の勉強の仕方について記載してきました。
科目毎の勉強の仕方は、やはり私が受験した時とは試験範囲や試験内容に変更があると存じますので、今回は記載せず、あくまで全体的な勉強の仕方について記載するに留めました。
ここまで書いていて特に大事だな、と感じたポイントは次の3つです。
①まずは解答を見ずに、とにかく手を動かして問題をとく
②1日10時間程度(仕事等で無理なら、可能な限り多く)勉強時間を確保する
③”基本的な論点”とはどれで、どこからどこまでで、何なのか、というのを漏らさず把握しておく
以上を意識して勉強されるのが、合格への近道であり、逆にこの内の1つでも欠けてしまうと、合格への道がかなり遠のくと思われます。
公認会計士試験 受験生の皆様、勉強は大変しんどいかと思いますが、ぜひとも頑張って勉強し、合格を掴んでください。
それでは、また。