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すぐわかる!インボイスの簡単解説

インボイスの登録は原則、2023/3/31までに行う必要があります。

期限がいよいよ迫ってきていますね。

インボイス自体の説明は後述しますので、まずはインボイスの登録について説明します

インボイス登録の仕方

まず国税庁のHPにアクセスします。
下記URLです。

申請書のDL

[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)|国税庁 www.nta.go.jp

郵送の場合(国税庁に提出)

申請手続|国税庁 www.nta.go.jp

電子申請

登録申請手続におけるe-Tax対応の概要|国税庁 www.nta.go.jp

e-Tax

申請手続|国税庁 www.nta.go.jp

申請は申請書を印刷して郵送する方法と、電子申請する方法の2通りがあります。

申請自体は同ページのマニュアルの説明に沿ってやっていただければできます。(" 税理士署名 "欄は、自分で申請する場合は記載不要)

必要なものはマイナンバーカード等の電子証明書、利用者識別番号等(※)を準備してください。

※ 同ページの「 e-Taxソフト(WEB版) 」及び「 e-Taxソフト(SP版) 」で取得することも可能です。

適格書請求発行事業者(インボイスを出す人)になるには、消費税の課税事業者になる必要があります。

本来なら課税事業者になるために「 消費税課税事業者選択届出書 」を提出する必要があるのですが、2023/3/31までにインボイスの申請を行うと、この届出書を出すことなく、登録日より適格請求書発行事業者(課税事業者)となることができます。

申請書を出す場合にありがちなミスとして、申請用紙の貼付漏れがあります。
申請用紙は全部で2枚ありますので必要事項をそれぞれ記入の上、2枚とも忘れずに送付するようにしましょう。

ミスがあると審査が通らず差戻しになるため、時間が余計にかかります。

登録番号の通知

適格書請求発行事業者になった後は、継続的に取引を行う取引先に対して登録番号や交付・受領方法の連絡を行います。

このとき電子で登録通知を受領しておくと便利です。
電子データによる登録通知はこちら

申請手続|国税庁 www.nta.go.jp

インボイスの形態についての形式は法律で定められておりません。

必要な項目が記載されている書類やデータは全て「インボイス」に該当します。

紙媒体や電子データは勿論ですが、手書きも認められています

ご紹介した通り、電子データによる登録通知が便利でしょう。

簡易インボイスが可能な場合

不特定多数の方に対して販売を行う小売業・飲食店業・タクシー業等の取引については、インボイスの記載事項を簡易なものにした、「簡易インボイス(適格簡易請求書)」を交付することもできます。

例えば、コンビニやレストランでのレシートは、簡易インボイスでも可能です。

免税事業者とは

先ほど、適格書請求発行事業者になるためには消費税の課税事業者になる必要があると述べました。

課税事業者ではない方々は、「 免税事業者 」に該当します。

免税事業者とは、ごく簡単に言ってしまうと、売上が1,000万円未満の方々です。

副業で稼いでいらっしゃる方は、おおむねこの対象になると思われます。

インボイス登録をしなくてもいい場合

ここまではインボイスの登録について述べさせていただきました。

では、逆にインボイス登録をしなくてもいい場合について説明させていただきます。

まず述べておきたいのは、インボイス登録をせずに免税事業者でいることも選択肢の1つだということです。

しかし、インボイスがないとお客様が仕入税額控除が受けられません(仕入税額控除は後述します。)

簡単にいうと、消費税の控除ができなくなるため、お客様の支払う税金が多くなってしまいます。

インボイス登録者でない相手と商売をしたお客様は、その分消費税を多く負担しないといけなくなります。

そのため、消費税分の値下げを要求したり、そもそもインボイス登録者以外とは取引しないといったことも考えられます。

そうした背景も踏まえた上で、インボイス登録を無視できる人というのは、下記になります。

・お客様が商売をやっていない場合(例えば美容室、子供向けの習い事等)
・お客様がほとんど全員、「 簡易課税選択事業者 」の場合(売上の消費税の一定率について仕入税額控除を認めるもの)
この場合、仕入税額控除額は売上から計算されるので、インボイス無しでもOKとなります。
・唯一無二の人の場合(希少品や人気のアートを売っている等、その人以外から入手することができない場合)
・仕事を趣味でしている人(あまり売上を求めておらず、値引きや客離れが起こってもいいという人)

逆に無視が厳しい人は、下記になります。
・タクシーの運転手
・小規模の飲食店
・フリーランスのデザイナー等

インボイスについて

インボイスとは

インボイス制度により、これまで発行していた請求書に項目を追加しないといけなくなりました。

請求書に「それぞれの品目が軽減税率の対象かどうか」「税率ごとの合計金額」「発行した事業者の番号」といった内容を記載する必要が生じ、それらを満たさないものは「インボイス(適格請求書)」とは認められなくなります。

インボイスの発行は消費税を払っている事業者(課税事業者)しか行えません。

インボイスと認められない場合、消費税の計算において、仕入税額控除額ができなくなります。

この仕入税額控除とは何かを説明するため、消費税の計算についてご説明いたします。

消費税の計算とは

企業は、「前期の売上高が1,000万円以上」などの条件を満たすと、消費税の納税を行う必要のある「課税事業者」とみなされます。

消費税は消費者が負担をし、課税事業者(店舗等)は預かった消費税を国へ納付しています。

では、預かった消費税はどうやって算出するのでしょうか。

課税事業者は消費税の納付額を計算する際、「売上税額ー仕入れ税額=納付額」という計算式で計算をします。

例えば、売上2,200(消費税200円) 仕入660円(消費税60円) となる場合、売上消費税200-仕入消費税60(これが仕入税額控除です)となり、差額の140円を消費税として納付することになります。

この度のインボイス制度導入により、取引先企業が上記の仕入税額控除を受けるには適格請求書(インボイス)が必要となりました。

仕入税額控除を受けられなくなってしまうと、売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を引くことができませんので、その分多く消費税を納税することになり、企業の儲けが減少してしまいます。

よって、インボイスを発行できない方と取引をすると企業の儲けるお金が減ります。

従って、皆様がインボイス登録をしない場合、企業側がこの減る儲け分の値引を請求してきたり、そもそも取引しない、という事態になることが予想されます。

インボイス制度の対象者

インボイスを交付できるのは、税務署長の登録を受けた、インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)のみです。

また課税事業者でなければ、インボイスの発行事業者への登録は出来ません。

免税事業者とはで触れた” 免税事業者 "はインボイスの発行事業者になれないんですね。

皆さんにどう影響してくるかというと、インボイスの発行事業者にならないといけない→課税事業者にならないといけない→消費税を計算して納付する必要がある、ということです。

今まで売上規模が小さいため、消費税を払わずにすんでいた個人事業主やフリーランスの方が、インボイス制度の導入で消費税を払わないといけなくなる。

それがこの制度の大きな問題点です。

一応、国もその点を考えてはいます。

取引への影響に配慮して経過措置が設けられており、免税事業者からの仕入れについても、制度実施後3年間は消費税相当額の8割、その後の3年間は5割を仕入税額控除が可能とされています。

都合6年間、インボイスが無くても、一部仕入税額控除は可能になっています。

ここで、インボイス制度の影響を受けない事業者を紹介します。

それは、" 簡易課税制度 "を適用している事業者です。

簡易課税制度とは

まず、適用要件です。

基準期間(個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下の事業者は事前に届出を提出することで簡易課税制度を適用できます。

簡易課税制度を適用すると、売上げに係る消費税額にみなし仕入率を乗じることにより仕入税額を計算することができますので、仕入れの際にインボイスを受け取り、それを保存する必要はありません。

どういうこと?となると思うので、例を出します。

例えば売上高4,400万の小売業者の場合。

①売上にかかる消費税額
4,400万円(税込)÷110%=4,000万円(税抜)
4,000万円(税抜)×10%=400万円(売上にかかる消費税)

②仕入にかかる消費税額
400万円(売上にかかる消費税額)×80%(これがみなし仕入率。業種ごとに率は変わります。)=320万円

③差引税額
①(400万円)-②(320万円)=80万円

支払う消費税額は80万円と算出されました。

つまり、消費税の計算において、仕入税額控除の算定を必要とせず、売上にかかる消費税だけわかれば消費税額を算出できるのが簡易課税制度になります。

このため、仕入れの際にインボイスを受け取り、それを保存する必要はありません。

簡易課税制度を適用する事業者には、インボイスの発行は不要となります。

インボイス登録をした方は、簡易課税制度の適用がおすすめ

インボイス登録をするには課税事業者になる必要がある、といいました。

つまり、インボイス制度で課税事業者になった皆様自身も、消費税の計算をする必要があるということです。

仕入税額控除を受けるために、インボイスを受け取り保存をしておく必要がございます。

正直、相当負担が増えると思います。

この点も、インボイス制度の大きな問題点です。

では、どうしたらいいか。

消費税の計算の手間を減らしましょう。

先ほど、基準期間に売上5,000万円以下の事業者は簡易課税制度を適用できると述べました。

皆様も簡易課税制度の適用者になってしまいましょう。

そうすれば、仕入税額控除の計算をする必要がなく、インボイスの保存をする必要もございません。

これだけで、かなり作業の手間は減ることになります。

申請の仕方は、下記に必用事項を記入し、税務署にご提出ください。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/pdf/1461_13.pdf

インボイス登録をするか否か

上記で説明した通り、インボイス登録をするためには課税事業者になる必要があり、そうすると、消費税の申告・納付をしないといけなくなります。

収入が減り、消費税計算の作業をしないといけません。

インボイス登録をしなくてもいい場合 の章で述べた通り、インボイス登録をせずに免税事業者のままでいるのも1つの選択肢だと思います。

この場合、企業向けの案件が取りにくくなるとは思いますが、個人を相手に商売をしている分には特に問題はないと予想できるからです。

まとめ

ここまで読んでくださり、誠にありがとうございました。

インボイスの理解を深めていただけましたでしょうか。

インボイス登録自体は比較的簡単にできると思います。

問題は、登録したあとの消費税の申告・納付です。

それらの手間やコストを把握したうえで、登録をするか考えていただきたいと思います。

個人的な考えとしては、企業案件を狙っている方は、やはり登録が必要になると思います。

なにかとやっかいなインボイス制度ですが、締切が2023/3/31と迫ってまいりましたので、早めにご検討することをおススメいたします。

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