以前、タフじゃなくても生きる(うつを乗り越えて)
を書かせていただきましたが、今回はうつになるまでの経緯から、治療期間のこと、及び職場復帰の過程を記載し、同じようにうつで苦しんでいる方に少しでも参考になればと思い、記載させていただきます。
目次
うつの経緯と症状
当時の私は、インチャージ2社をやりながら、MBAの勉強をしていました。
働きながらMBAを目指すというのは王道ですが、毎朝5時から勉強を開始し、夜遅くに帰宅、そこからMBAの勉強という毎日を繰り返しておりました。
勉強はそこまで大変に感じなかったのですが、インチャージを任された経緯の点で、私の中にはずっと引っ掛かりがありました。
当時の私はスタッフという一番下の職階だったのですが、会計士修了考査も終わり、インチャージを担当することで、シニアへの昇進条件を満たすはずでした。
当時のアサイン先の上司に、ここのインチャージをやってくれるなら、シニアへ昇格できると言われ、すっかりその気になっておりました。
しかし、実際にはシニアの昇進は無く、所属部署の上長及び人事部に相談しても、時期的に昇進のシーズンでは無いので、来年まで待って欲しい、と意味不明な解答をされました。
実質だまされた形でのインチャージということで、私としてはとても不本意な状況でスタートしてしまいました。
インチャージ1社とMBAの勉強であれば十分回せていたのですが、半年後、更にもう1件インチャージをすることになりました。
私に事前の確認無しに、気づいたらインチャージにされていたという状況で、アサイン先のマネージャーから仕事の連絡を受けて初めて気づいた程でした。
やはりシニアへの昇格は来年まで待ってくれと言われてしまいました。
当然、所属部署上長には相談したのですが、上長からは「君が英語業務を希望していたので、海外子会社があるアサイン先の仕事を振った。インチャージ2件になるが、大丈夫でしょう。」と徹底的にずれた解答をされ、断ることもできませんでした。
新しいアサインは、子会社も多く、かなり大規模なIPO監査でした。
このIPO監査が問題がとても多く、業務時間のほとんどをそのアサイン先対応で忙殺される日々。
勉強時間はさらに睡眠を削ることで賄っていました。
こうした、理不尽な人事状況でのインチャージ業務は相当に私の精神を削り、大きなストレスと睡眠不足からくる体の疲れを抱えながら、日々の業務を続けてまいりました。
その時から兆候はすでに出ておりました。
1か月に1度くらいの単位で体が急に動かなくなり、3か月ほど、月に1度休むことが連続しました。
後から妻に聞いた話だと、当時の私はかなり荒れていたそうで、酒を飲みながらすさんでいた、と言われてしまいました。
いよいよ繁忙期になり、業務がさらに忙しくなったある日、いよいよ体調が本格的におかしくなりました。
まず、夜に眠れず、明け方まで起きたままの日々が続きました。
ある日、電車に乗ってアサイン先に向かったのですが、最寄り駅に着くまでに激しい頭痛と動悸に襲われました。
最寄り駅に降りたのですが、ひどい動悸が治まらず、私はその場を1歩も歩けなくなってしまいました。
さすがにこれはまずいと思い、その日は仕事を休むことに。
相変わらず眠れない状態で、ベッドに横になっていました。
その日は復調せず、体がまともに動かず、それは翌日、翌々日になっても続きました。
私はその日以来、仕事にいけなくなってしまいました。
メンタルクリニックにいくと、うつと診断され、それ以降全く仕事に行けなくなった私は、会社を休職することになりました。
うつになってからの治療期
うつになって半年程、私は何のやる気もわからず、ひたすら横になっていました。
本当になんのやる気も湧かず、食欲も湧かないので、ほぼ何もできない生活が続きました。
恐らく妻がいなければ、私は生活していくことができなかったと思います。
活字を読むこともできず、テレビもみることができず、本当に何もしないまま、ひたすらこんなことになってしまった自分を責め続ける毎日でした。
病院からは睡眠導入剤とうつの安定剤を支給され、カウンセリングを受けながら、毎日をなんとか生きている状態でした。
気を抜くと死にたいと思ってしまいます。
気力が湧かないので実行はしないのですが、ひたすら自分を責め続けることと、死にたいと思うことで毎日を過ごしていました。
生活に関しては、健康保険組合からの傷病手当金をもらっておりました。
これは、特定のけがや病気で休職中の方に支給されるものです。
うつで休職することになったら、これをまず申請するといいでしょう。
病院選びの重要性
半年程症状が全く改善しないまま、職場の上司から、会社の産業医と一度面談をするように言われました。
後から考えると、ここで産業医に相談できたことは非常に良かったことでした。
まず産業医に言われたのは、半年経ってなんの改善も無い状態であれば、病院を変えた方がいいということでした。
私の通っている病院は、いくつもの支店がある大きなクリニックで、口コミも悪いことは書いていませんでした。
しかし、心療内科医の間では大変に評判がよくない病院だったらしく、産業医のおすすめするクリニックに変更することになりました。
新しく通った病院で先生に言われたことは、まず薬の処方が中途半端になっているので、症状に合わせた処方を行い、様子を見ましょうとのことでした。また、基本的に今は休む時期なので、ひたすら休んでくださいと言われました。
以前のクリニックでは薬は3種類だったのですが、そこから8種類に増えました。
この薬の処方は正しかったようで、薬を飲んでひたすら休んでいると1か月経ったころから気分がよくなり、症状が改善してきました。
そこから3か月程経って、私の体調は日常生活をこなせるくらいには回復してきました。
クリニックのお医者様からは、毎朝図書館に通うことを薦められました。
決まった時間に図書館に行くことで、生活のリズムを取り戻し、社会復帰の役にたてる治療法です。
そこからさらに2か月程それを繰り返し、ようやく体調が安定してきました。
そこから会社への復帰をし始めました。
産業医と相談し、まずは週3日からのリハビリ出社をするようになりました。
週3日でも体調のことがあり、それなりにきつかったのですが、何とかこなしました。
そこから週4日、週5日と出勤日を徐々に増やしていき、私はようやく職場への復帰をすることができました。
ここまでで1年半程かかりました。
半年通って何の改善も無かったら病院を変える、というのは大事な考えです。
うつの治療において、医者との相性というのは特に大事なものです。
合わないお医者様に無理をして診察を受け続けても、症状は改善しません。
また、心療内科は医療免許があれば、特別の資格なしに看板をかかげられるので、医者があまり知識が無いのに、儲けのために心療内科をうたっている病院もあります。
そういった”外れ”の病院もあるので、もし皆様がうつの治療を行いたい場合、病院及び医者の選定には細心の注意を払い、場合によっては勇気を持って、医者あるいは病院を変えるという決断をするのが大事です。
うつという病気と向き合って
うつの回復にかかる期間には個人差があります。
半年程で回復する人もいれば、何年も症状が改善しない人もいます。
私も職場復帰するのに1年半かかっており、やはりそれなりの長期間、治療をすることが必要になります。
重いうつになるとそれだけの期間の療養が必要になっております。
症状が軽いうちに治療すれば治りが早いのは、他の病気と同じで、体調がおかしいと感じたら、早いうちに診察を受けることをおすすめします。
重いうつの中で、自殺を考えることも珍しくありません。私も死にたいと思って過ごしていました。
特に症状が回復して、気力が戻ってくるタイミングが危ないと言われています。
今の病院の先生から、死ぬのは絶対にいけませんよ、と強く念押しされていました。
アドバイスとしては、例えば駅のホームで死にたくなったとして、その場にしゃがみこんでもいいから、とにかくこらえて時間を経過させることが大事だと言われました。
死にたいという気持は一時点で強く生じるもので、時間が経過すれば、その気持ちは引いていくということでした。
これは、今も気を付けていることです。
うつ病には波があり、治っていく過程で、何度も症状がぶり返したり、また悪化しながら、少しずつ回復していくものなので、焦りは禁物です。
私も、日によって極端に気分が落ち込んだり、体が動けなくなったりすることを繰り返しながら徐々に職場への復帰を果たしていきました。
うつになって感じたのが、休息を取るのがとても大事ということです。
うつになって、徹底的に”休む”ということを意識して行ってみると、インチャージをしながらMBAを目指していたころは、ほとんど休息をとれていなかったんだな、ということを実感いたしました。
うつはどんな人でもかかりうる病気です。
職場でストレスを抱えながら、ちゃんと休まずに日々を過ごしていると、あっという間にうつになっていることもあります。
なので、まず睡眠や好きなことをする、という休息をしっかりとること。体調がおかしいと感じたら、早めにクリニックを受診することが大事です。
まとめ
以上が、うつになってからの私の闘病記です。
うつになった時に大事なのが、周囲の理解です。
私の職場では、時たま心を壊して休職に入る人がいるため、うつになった人への対応は以外としっかりしておりました。
また、治療過程で妻にあたってしまうこともあり、何度もぶつかりました。
しかし、妻も基本的にうつへの理解を示してくれており、「しっかり休んでね」と言ってくれました。
うつになったことに関して、私を責めるようなことは決して言いませんでした。
そうした環境のおかげで、私は病気を治すことができていったと思います。
世の中には、うつは甘えだ、気合をいれて治せ、という、うつへの理解が全くない人間は本当にいます。
そういう人とは治療中、徹底的に距離を取りましょう。
まずは自分が回復することが一番です。自身を一番において、治療に悪影響を与える人とは関わらないということが大事です。
この体験が、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
それでは、また